【NEWS】徳島駅周辺の鉄道高架事業が見直しか?中止を含め市と県が協議へ

徳島駅 協議会ニュース

【2026年3月3日】JR高徳線と牟岐線の鉄道高架事業について、徳島市は事業の見直しを求める協議を徳島県に申し入れました。これは2026年3月3日の市議会建設委員会で、市が明らかにしたものです。

この事業は、徳島駅をはじめ市中心部を通る高徳線・牟岐線の一部区間を高架化し、交通渋滞の緩和や都市機能の強化をめざすもので、市と県、JR四国の三者が協議を続けてきました。しかし、2026年2月18日に開かれた市議会のまちづくり対策特別委員会で、市は「この事業が、他の重要事業を圧迫する事態になってはならない」と、鉄道高架事業の財政負担の重さを説明。中止を含めて再検証する考えを示しています。

協議の申し入れを受けて徳島県は、市に協力する考えを伝えたうえで「鉄道高架事業は県と市が協調して進める必要がある。見直しを議論するうえで、市が考えるまちづくりを示してほしい」と、地元メディアの取材に答えています。またJR四国は、県と市の検討状況を注視していきたいと話しています。

【解説】800億円以上の事業費が重荷に…徳島市中心部の鉄道高架事業とは

徳島市内の鉄道高架事業は、JR高徳線の出来島踏切西~徳島駅(約0.7km)と、牟岐線の徳島駅~園瀬川左岸(約4.0km)を高架化する連続立体交差事業です。これにより10カ所以上の踏切を廃止にし、交通渋滞の解消や安全性の向上、市街地の一体化などの効果が期待されています。

高徳線と牟岐線の高架化構想は、国鉄時代の1970年代からありました。当時の計画では、高徳線の佐古駅付近から始まり、佐古駅周辺は1993年に高架化が実現しています。

それ以南の区間は、2006年に国が連続立体交差事業の着工準備箇所として採択。これを受けて徳島県と徳島市が都市計画決定に向けて調査・検討を進めています。しかし、20年を経た現在も事業化されていません。

▲徳島市中心部の鉄道高架事業案(現行計画)。赤の区間(1期)から工事を始め、その後に緑の区間(2期)を高架にする。
出典:徳島県「現行の鉄道高架計画の概要」

JR四国の車両基地の扱いが課題に

鉄道高架事業が進まない理由のひとつが、「JR四国の車両基地をどこにつくるか」という問題です。現状の車両基地は徳島駅の構内にありますが、ここも工事現場となるため車両基地を移設する必要があります。

そこで徳島県と徳島市、JR四国は車両基地の移設先を決めるために「JR高徳線・牟岐線鉄道高架事業技術検討会」を2008年に設置。協議の結果、市南部の牟岐線沿い(地蔵橋駅付近。以下「現行計画」)へ移設することで合意します。

しかし、ここで問題が発覚します。車両基地は地上に設置予定のため、回送列車を含めて踏切の遮断時間が増加。車両基地周辺の道路事情に大きな影響を与えることがわかったのです。この課題を解決するために県と市とJR四国が再び協議を始めますが、課題を解決できないとして合意に至らず、そのまま時間だけが過ぎていきます。

動きがあったのは、2024年11月。徳島県が新たな候補地を提案します。それが、2015年に閉館した「徳島市立文化センターの跡地」です(以下「新計画」)。徳島駅の南側に位置し、途中に踏切がないため周辺道路に影響を与えません。この新計画案をもとに、三者による協議を2024年12月に再開します。

その協議中に、今度は徳島市が新たな候補地を掲げます。そこは、徳島駅北側の現車両基地。「現在の車両基地も高架にすればよいのでは?」という案です(以下「代替計画」)。用地取得も不要で一見すると真っ当な意見に聞こえますが、高架化工事の期間は現車両基地も工事現場になるため、どこかに仮移設しなければなりません。文化センター跡地に仮移設する場合、「だったら文化センター跡地に作ればよい」という話になります。

高額な事業費に徳島市が見直しを要望

いずれの候補地も課題があるため、協議では建設コストや早期実現性など5つの条件で整理し、検討を進めます。ここで、3つの候補地の検討結果を整理しました。

現行計画新計画代替計画
建設コスト約800億円約850億円850億円+α
早期実現性約17年約13年13年+α
用地取得の難易度難航する恐れ買収は生じない買収は生じない
その他課題・高架区間外の踏切遮断時間の増加
・JR四国の回送コストが増加
・徳島城跡の遺構や景観面の問題・事業費の増加
・完成が遅れる恐れ

なお、事業費のおよそ半分(400億円以上)は国の補助金を活用。JR四国も約60億円を負担し、残りを県と市が折半(170億円以上)する予定です。

こうしたなかで徳島市が、「事業中止も含めて検証する」という考えを2026年2月に示します。理由は、170億円以上になる事業費を「負担できない」としています。徳島市は鉄道高架事業以外にも、大型事業を多く抱えています。人口減少が進み予算縮小が見込まれるなかで「他の事業を抑えてまで鉄道高架事業に予算を割けない」という考えを示したのです。近年の建設費高騰を考慮すると、将来的にはさらに事業費が増加する可能性もあるでしょう。

これに対して徳島県は、事業の必要性を強調。県都の都市機能強化に資する重要なインフラとして、事業継続の意向を示しています。

今後、市と県が協議を始めるとみられますが、そのなかで高架化による「費用便益比(B/C)」も検討されるかもしれません。高徳線と牟岐線の高架化による便益は、2005年に試算されています。そのときの便益額は、移動時間の短縮効果や交通事故の減少などから約884億円とされました。当時試算された事業費は約380億円ですから、費用便益比は2.3でした。

その後、事業費が大きく増加。2024年11月の県土整備委員会資料によると、費用便益比は現行計画が1.3、新計画は1.2と試算しています。建設費などの高騰によっては、1を超えるか微妙なラインになりそうです。この試算結果から徳島市は「いつまでも進まない事業に予算を割けられない」と考え、事業の見直しを求めたのかもしれません。ただ徳島市は「中止ありきではない」とも説明しており、県と同額という負担割合の見直しも協議されるとみられます。

人口減少が進み財政悪化も懸念されるなかで、巨額の都市インフラ投資をどのように進めるべきか。それは徳島に限らず、全国の地方都市に共通する課題といえるでしょう。

参考URL

徳島市内鉄道高架事業とは(徳島県)
https://www.pref.tokushima.lg.jp/renritsu/about/

徳島市内鉄道高架事業に関する県・市・JR四国3者協議の協議状況について(徳島県)
https://www.pref.tokushima.lg.jp/file/attachment/1023504.pdf

JR高徳線・牟岐線連続立体交差事業 費用便益分析について(徳島県)
https://www.pref.tokushima.lg.jp/file/attachment/447859.pdf

新たな鉄道高架計画の評価について(徳島県)
https://www.pref.tokushima.lg.jp/file/attachment/972772.pdf

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