【NEWS】JR旅客各社が2025年度の決算を発表 – 過去最高の最終利益も

JR旅客各社が2025年度の決算を発表 協議会ニュース

【2026年5月14日】JR旅客各社は、2025年度(2026年3月期)の決算を発表しました。

連結売上は、各社とも前期より増加しています。JR東日本は、コロナ禍前の3兆円台を回復し、過去最高を記録。JR東海は初めて2兆円の大台に乗りました。前期比42.6%増のJR四国は、M&Aでグループ会社が増えたことが大きな伸びにつながったとしています。

鉄道運輸収入も、各社前期より増加。大阪・関西万博の開催にともなう利用者増加などにより、JR東海では前年比10.7%増、JR西日本は6.2%増でした。2025年4月に運賃・料金を値上げしたJR九州は14.1%増と、高い伸び率を示しています。同じく運賃を改定したJR北海道では、会社発足以来過去最高の鉄道運輸収入を得たようです。

連結最終利益は、JR九州以外の5社が10%以上の増加。なかでもJR北海道は66.1%増、JR四国は47.3%と大幅に伸びています。この2社は、経営安定基金の下支え措置など国の支援が増えたことが大きな要因としています。

■JR旅客各社の2025年度(2026年3月期)の決算

連結売上(前年比)うち鉄道運輸収入(前年比)連結最終利益(前年比)
JR北海道1,656億円(6.1%)811億円(5.8%)76億円(66.1%)
JR東日本3兆846億円(6.8%)1兆8,485億円(4.5%)2,478億円(10.5%)
JR東海2兆62億円(9.5%)1兆5,853億円(10.7%)5,528億円(20.6%)
JR西日本1兆8,458億円(8.1%)9,479億円(6.2%)1,274億円(11.9%)
JR四国788億円(42.6%)245億円(4.9%)48億円(47.3%)
JR九州5,003億円(10.1%)1,726億円(14.1%)454億円(4.1%)

【解説】万博効果で増収増益も将来を不安視するJR各社

大阪・関西万博は、JR各社の売上・利益にも大きく貢献しました。

JR西日本は、万博開催により山陽新幹線は130億円、北陸新幹線では18億円の増収につながったと分析。在来線も近畿圏が57億円、その他の地域では5億円増えたとしています。鉄道以外の事業も、ホテルや物販(万博公式ショップなど)の収入が好調だったようです。

JR東海も、東海道新幹線が関東・東海からの「万博輸送」を担い好調。東海道新幹線の運輸収入は、前年比11.1%増の1兆4,793億円を記録しています。

ただ、2026年度は万博効果の反動で減少すると両社は予想しています。JR西日本は、2026年度の鉄道運輸収入は2025年度より19億円減少すると予想。物価高騰や不透明な国際情勢を考慮すると、連結営業利益は330億円減を見込んでいるようです。JR東海も、連結売上は132億円減と予想。労務費の上昇や中東情勢によるコスト増を踏まえ、連結営業利益は1,281億円減と予想しています。

一方でJR東日本は、過去最高となった今期を「さらに上回る連結営業収益をめざす」と、来期(2027年3月期)に期待している様子です。

人件費や修繕費などのコスト増加は見込まれるものの、2026年3月に実施した運賃改定などより、来期の鉄道運輸収入は954億円増と予想。また、高輪ゲートウェイシティや大井町トラックスの開業といった不動産賃貸収入の増加も期待され、来期の連結純利益は2.9%増の2,550億円を見込んでいます。

三島会社も過去最高を記録するが2026年度は減収予想も

三島会社の決算では、JR四国で大きな動きがありました。連結売上は、公表を始めた1999年度以降で過去最高の788億円を記録。M&Aで3社をグループ企業化したことが、売上額の大幅な増加につながりました。もっとも、既存事業も好調でした。鉄道事業は、大阪・関西万博のほか瀬戸内国際芸術祭、あなぶきアリーナ香川でのイベント開催などにより利用者が増加。ホテルや飲食・物販などの関連事業も増収増益でした。

ただ、2026年度はイベント効果がなくなるため、連結営業収益は前期比2.7%減の767億円と予測。純損益は12億円の赤字に転落するとしています。なお、2025年度の鉄道事業の赤字額は137億円でした。

2025年4月の運賃改定で鉄道運輸収入を大きく伸ばしたのが、JR九州とJR北海道です。

とくにJR九州の鉄道運輸収入は前年比14.1%増と顕著な伸びを示し、過去最高の1,726億円を記録。不動産・ホテル、流通・外食などの非鉄道事業も好調で、連結売上は初の5,000億円台の大台に乗りました。この好調は2026年度も続き、来期も増収増益を見込んでいます。

JR北海道の鉄道運輸収入も、過去最高の811億円を記録。運賃改定のほか、快速エアポートなどが走る千歳線の利用者増加が売上増をけん引したようです。費用に関しては、人件費の減少などで前期より減少。それでも鉄道事業の赤字額は493億円と、厳しい状況が続いています。2026年度は、鉄道運輸収入の増加が見込まれるものの物価高騰などにより、グループ全体の純損益は15億円の黒字と予想しています。

儲けているのに赤字ローカル線の存廃協議が増える理由

さて、JR東海を除く旅客各社は赤字ローカル線の存廃協議を沿線自治体に申し入れています。これだけ儲けているのに、JR各社はなぜ協議を申し入れるのでしょうか。理由のひとつに、「内部補助のしくみが破たんしている」ことが挙げられます。

破たんした理由のひとつが、利用者の減少です。利用者が減り続けて他の交通モードでも輸送できるような線区に対して、JR各社は「内部補助をしてまで鉄道を維持する必要があるのか?」と考えるようになります。

また、JR各社が得た利益は、赤字黒字に関係なく全路線で平等に投資するために使われます。利用者が増えた路線には増便などの投資が必要ですし、車両や設備の更新も計画的に進めなければなりません。1便あたり数人しか乗らない線区にも、平等に投資されているのです。

とはいえ、利用者が極端に少ない路線にも投資すれば、他の路線への投資が減ってしまいます。混雑しているのに増便ができなかったり、新しい車両や設備へ更新できなかったりといった課題を抱えるJR路線は、日本中にあるでしょう。多額の利益を得ていても、JR各社が提供できるのは「現状のサービスが限界」なのです。

サービスを向上させるには、JR各社の内部補助だけでは難しく、誰かが支援する必要があります。とくに利用者が極端に少ない路線では、国や沿線自治体による「外部補助」も求められるでしょう。

国は、公共交通機関のサービス向上を目的に、さまざまな制度を用意しています。その制度を使えるのは、基本的には自治体です。そのため、自治体も「どうすれば鉄道を使ってもらえるか」「鉄道を生かした地域活性化ができるか」と、当事者意識を高めて公共交通議論に望むことが求められます。従来の「JRに増便や観光列車の要請をして終わり」といった他人事の姿勢では、赤字ローカル線は残せない時代なのです。

関連記事

※内部補助に対するJR各社の考えについて、以下の記事で詳しく説明します。

JRと自治体の連携は無理?ローカル線の存廃協議で対立する理由
JRローカル線の存続・廃止をめぐる協議では、JR各社と自治体が対立する構図が多くみられます。互いが連携できない理由をまとめました。

参考URL

JR北海道グループ 2025年度決算
https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/mi/kessangaikyou/20260513_2025_4Q_kaizen.pdf

2026年3月期決算および2027年3月期経営戦略 説明資料(JR東日本)
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9020/tdnet/2797741/00.pdf

2025年度(2026年3月期)期末決算補足説明資料(JR東海)
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9022/tdnet/2796249/00.pdf

2025年度期末決算について(JR西日本)
https://www.westjr.co.jp/press/article/2026/04/30/items/20260430_00_press_kimatukessan.pdf

2025年度 期末決算について(JR四国)
https://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/assets/2026/05/13/20260513%2001.pdf

2025年度 決算について(JR九州)
https://www.jrkyushu.co.jp/common/inc/news/newtopics/__icsFiles/afieldfile/2026/05/11/20260511_financial_statement_2025.pdf

第2回鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会(第2期)議事概要(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/tetudo/content/001974028.pdf

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