運営者について
Webライター/鉄道関連の協議会ウォッチャー。
Webライターとしては、主に不動産系や製造業、サービス業、IT系のWebサイト制作・メディア記事制作に携わっています。
また、鉄道関連の協議会ウォッチャーとして、赤字ローカル線の事業者と自治体との協議進捗をまとめたメディア「鉄道協議会日誌」を運営。全国100以上の協議会などの資料・議事録をもとに、各路線の将来や地域公共交通のあるべき姿を伝えています。
本サイトを立ち上げた目的
「鉄道協議会日誌」は、赤字ローカル線の存続または廃止に関する協議会の情報をまとめたサイトです。協議会が必要になった理由や経緯、存続をめざして自治体が取り組んでいること、その効果などの情報を紹介します。
鉄道事業者と自治体との協議会は、JRや中小私鉄を中心に、今後増えていくことが予測されます。本サイトでは、その経緯を随時更新していくことはもちろん、これから協議を始める沿線自治体が「地域に求められる公共交通のあり方」を検討するうえで、有意義な情報をお伝えすることも目的に、本サイトを立ち上げました。
赤字ローカル線の廃止を防ぐ方法はないのか?
2022年、JR西日本とJR東日本は、輸送密度2,000人未満/日の線区における収支を公表しました。これと同じ基準で、JR九州は2020年より公表を続けていますし、JR北海道とJR四国は、それ以前から全線区の収支を公表しています。
いずれも、大半のローカル線が巨額の赤字を抱え、しかも利用者数が極端に少ない。こうした現状に、頭を抱える自治体は少なくないでしょう。
赤字ローカル線の課題を解決する第一歩は、鉄道事業者と自治体が話し合う「協議会」を設置することです。「自分たちには関係ない」「協議しても廃止されるに決まっている」と協議を拒んでも、いずれは廃止を受け入れるしかありません。先延ばしをしたところで、誰にもメリットはないのです。
だったら、自治体が優位に進められるよう「理論武装」をして協議会に挑んだほうが、多くの人にメリットを与える解決策を導けるかもしれません。ここでいう「理論武装」とは、利用促進のアイデアや経費削減策など、鉄道経営に関する知識やノウハウを学んだうえで、「公共交通利用者や地域を守るために話し合うこと」を指します。
では、そのアイデアやノウハウは、どこで学べるのでしょうか。ひとつの方法として、「先例を見る」のも一手です。国鉄末期にJRへ継承されなかった第三セクターをはじめ、自治体が経営に携わる鉄道事業者には、さまざまなアイデアやノウハウを蓄積しています。
本サイトでは、こうした鉄道事業者や自治体が取り組んでいる事例をはじめ、先例のアイデアやノウハウをまとめて紹介しています。
地域の特性にあった施策を考えることが大切
利用促進などの施策を協議するとき、他の地域の成功例を真似れば成功するとは限りません。重要なのは、「自分たちの地域の特性にマッチする施策」を検討し、その施策を「目標を掲げて実施する」ことです。
そのためには、まず自分たちの地域公共交通の実情を把握すること。「鉄道が廃止されると、地域にどのような影響が出るのか」「本当に地域の人が困るのか」という視点も含め、客観的に判断することが求められます。
通学利用の学生が多いローカル線の場合
たとえば、鉄道が「通学の足」になっている地域であれば、「現在の通学定期客は何人か」「5年後・10年後の通学定期客はどうなるのか」といったデータは、把握しておきたいところです。鉄道事業者に情報開示してもらったり、年齢別人口構成を確認したりすれば確認できるでしょう。
「通学利用者を守れ」と無闇矢鱈に訴えても、少子化・過疎化で先細りなのは明白です。学生だけでなく、「どうすれば利用者が増えるか」という視点を持って考えることも大切です。
通院利用の高齢者が多いローカル線の場合
高齢者の「通院の足」が鉄道存続の目的なら、病院の最寄り駅の乗降客数や、そのうち通院利用者の割合といったデータは把握しておきたいところです。マイカーや病院の送迎車で通院する人が大半の場合、「なぜ鉄道やバスを利用しないのか」をアンケート調査するのも一手でしょう。
高齢者のなかには、高校を卒業してから半世紀以上も「地元の鉄道やバスを使ったことがない」という方がたくさんいらっしゃいます。列車の時刻表はもちろん、行先や乗り方すら知らない高齢者に、どうすれば鉄道を利用してもらえるのか。むしろ、病院の送迎バスを充実させて利便性が高まるのであれば、鉄道に固執する理由はありません。
観光利用が多いローカル線の場合
「観光誘致」が鉄道存続の目的なら、駅と観光地を結ぶバスなど二次交通の整備はもとより、そもそも観光地に行く人の移動手段を把握することも大事です。
地域によっては、鉄道を見たり乗ったりすることを目的に訪れる観光客が多いところもあります。そうした観光客が「地域にどれくらいの経済効果をもたらすのか」を評価分析し、大きな効果が期待できれば、鉄道の必要性をアピールできるでしょう。
単に鉄道があるだけでは観光客は来ませんから、多くの人を呼び寄せる広報手段も検討する必要があります。
国主導の協議会で自治体が優位に進めるには
こうした地域の実情を事前リサーチしたうえで、それに適した施策を選び、さらに地元ならではの独自性を持たせることが、赤字ローカル線の廃止を防ぐために自治体ができることだと考えられます。なお、各施策には具体的な数値目標を掲げ、評価分析することも大切です。
国は、鉄道事業者から見直しを求められている線区(輸送密度1,000人未満/日の線区など)を対象に、2023年度から新たな協議会を設置する方針です。その場でも、「利用していないのに、なぜ鉄道が必要なのか」といった議論が、全国各地で繰り返されるでしょう。
感情だけで反論しても、鉄道は残せません。地域住民の足として「重要な交通手段」とされる鉄道を、どうすれば守れるのか。このサイトの情報が、少しでもお役に立てれば幸いです。
運営情報
サイト名 | 鉄道協議会日誌 |
サイトURL | https://www.tetsudokyogikai.net/ |
サイト運営者 | big5 |
サイト内容 | 鉄道(赤字ローカル線)の存続・廃止をめぐる、鉄道事業者と沿線自治体との協議会をまとめたサイトです。 |