【NEWS】第三セクター鉄道の輸送実績&収支2025年度版 – 41社中赤字は36社

第三セクター鉄道の愛知環状鉄道 協議会ニュース

【2026年10月6日】第三セクター鉄道等協議会は、2025年度の加盟41社の輸送実績(年間輸送人員)および経営成績(経常損益)を公表しました。

年間輸送人員では、加盟社の半分以上にあたる22社で前年度より増加。愛知環状鉄道、IRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道では前年度比で50万人以上も増えました。

経常損益でみると、前年度より改善したのは15社でしたが、黒字事業者は5社のみ。36社が赤字でした。沿線人口の減少や燃料・資材価格の高騰などが響き、三セク鉄道の経営環境は引き続き厳しい状況にあるようです。

各社では、利用促進や経費削減など経営改善に向けた取り組みを進めていますが、人口減少時代を見据え地域公共交通の維持・活性化に向けた議論が今後さらに加速しそうです。

【解説】2025年度の第三セクター鉄道の成績を総括

第三セクター鉄道等協議会は、旧国鉄の特定地方交通線や整備新幹線の開業に伴う並行在来線を引き継いだ、全国の三セク鉄道事業者によって構成される団体です。加盟事業者は41社。並行在来線を継承した「青い森鉄道」や、私鉄から移行した「ひたちなか海浜鉄道」「万葉線」など、一部の三セク事業者は加盟していません。

第三セクター鉄道等協議会では、加盟各社の輸送実績と経営成績を取りまとめて毎年公表しています。ここでは、前年度と比べて利用者数が「増えた事業者」「減った事業者」と、「黒字事業者」「赤字額の大きい事業者」をピックアップして紹介します。

利用者が増えた第三セクター鉄道TOP5

協議会加盟41社のうち、2024年度と比べて利用者数が増えたのは22社でした。このうち、増加数の多かった5社は次の通りです。

事業者増加数増加率
愛知環状鉄道76.3万人+4.5%
IRいしかわ鉄道58.2万人+3.2%
あいの風とやま鉄道52.7万人+3.5%
ハピラインふくい19.1万人+2.5%
伊勢鉄道10.6万人+6.7%

利用者数がいちばん増えたのは、愛知環状鉄道です。年間1,700万人以上が利用する同社は都市近郊路線ということもあり、伸び率は4.5%と顕著に増えています。沿線人口が減少期を迎えるなかで、ラッピング列車の運行やイベントと連携した企画乗車券の販売といった利用促進も、利用者増加に貢献したようです。

2位から4位は、北陸新幹線の並行在来線を継承した3社がランクイン。開業2年目のハピラインふくいや、IRいしかわ鉄道の金沢以西の区間も、順調に増えていることがうかがえます。5位の伊勢鉄道は、インバウンド客をはじめ観光利用増の影響が大きいようです。

利用者が減った第三セクター鉄道WORST5

逆に利用者数が減ったのは19社でした。なかでも減少数が大きかったのは、以下の5社です。

事業者減少数減少率
IGRいわて銀河鉄道8.4万人-1.9%
肥薩おれんじ鉄道8.2万人-7.9%
三陸鉄道5.5万人-9.1%
いすみ鉄道5.4万人-28.6%
北越急行5.4万人-6.1%

減少数が多かった上位2社は、並行在来線を継承した事業者。もともと利用者数の多い路線ですから、減少数も大きくなりがちです。ただ、肥薩おれんじ鉄道は前年度比で約8%も減りました。同社では運転士不足により、2025年8月から減便ダイヤを実施。平日で18本、休日は15本の運休が続いています。観光列車「おれんじ食堂」の運休も、減少の一因でしょう。2026年は、熊本地震による長期運休が大きな影響を与えるかもしれません。

3位の三陸鉄道は、少子化による通学定期客の減少にくわえ、津波警報発令やクマ出没などによる定期外客(観光客など)の減少も影響したとみられます。

2024年10月から全線で運休が続くいすみ鉄道。2025年度は代行バスの利用者数ですが、減少率は-28.6%と大きく膨らみました。

黒字の第三セクター鉄道

第三セクター鉄道等協議会の加盟41社のうち、2025年度が黒字決算(経常利益)だったのは5社でした。額の多い順に紹介します。

事業者経常利益
智頭急行2憶1,831万円
IGRいわて銀河鉄道6,440万円
IRいしかわ鉄道4,674万円
鹿島臨海鉄道1,657万円
南阿蘇鉄道15万円

もっとも利益が大きかったのは、智頭急行です。同社では、JR西日本から得る特急列車(スーパーはくと)の車両・線路の貸付料が、大きな収入源となっています。

2位はIGRいわて銀河鉄道ですが、利用者減少の影響で前年度比4,752万円も利益が減少しています。

一方、2024年度は1,994万円の赤字(経常損失)だった鹿島臨海鉄道。2024年10月に実施した運賃引き上げと、貨物事業が好調だったことで2025年度は1,657万円の黒字転換です。南阿蘇鉄道も、前年度の赤字から黒字に転換。インバウンド客など観光客の増加が一因として考えられます。

赤字額が大きい第三セクター鉄道

協議会加盟41社のうち36社は赤字経営です。2025年度の赤字(経常損失)が大きい順に、5社紹介します。

事業者経常損失
北近畿タンゴ鉄道-13億0,761万円
肥薩おれんじ鉄道-10億6,917万円
阿武隈急行-10億2,282万円
いすみ鉄道-7億4,001万円
土佐くろしお鉄道-7億3,059万円

1位の北近畿タンゴ鉄道は、京都丹後鉄道の線路や駅舎といった鉄道施設(「下」の部分)を管理する、三セク事業者です。運行を担うWILLER TRAINSは決算を公表していませんが、鉄道統計年報によると2023年度は3億4,016万円の赤字でした。単純計算で、京都丹後鉄道は上下合わせて15億円前後の赤字が続いています。

赤字額が10億円超の大台にのった、肥薩おれんじ鉄道と阿武隈急行。いずれの沿線自治体も2026年度より「みなし上下分離」を導入しており、今後は経営が大きく改善するとみられます。

長期運休中のいすみ鉄道は、代行バスの運行経費などが増えたことで赤字額は7億円台に。一部線区の存廃協議も進むなかで、今後の動きが注目されます。土佐くろしお鉄道は、観光利用などが増えたものの、人件費増加・物価高騰などで費用がかさみ、過去最大の赤字になりました。

第三セクター鉄道は、多くの事業者が赤字です。それを、沿線自治体が補てんすることで運行を続けています。ただ、利用者減少による収入減と施設老朽化・物価高騰などによる費用増が続いており、赤字額は増加傾向にあります。

人口減少で自治体の歳入が減り続けるなか、鉄道事業者への支援の見直しを始める自治体も増えています。第三セクター鉄道等協議会の加盟社のひとつ、平成筑豊鉄道の沿線自治体は、将来の方向性として「廃止・バス転換」を決めました。地域インフラとしての鉄道の再評価や公的支援のあり方が、これまで以上に問われる時代を迎えています。

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参考URL

令和7年度第三セクター鉄道の輸送実績・経営成績について(第三セクター鉄道等協議会)
https://3sec-tetsudou.jp/archives/4347

第三セクター鉄道等協議会加盟各社の輸送実績・経営成績
https://3sec-tetsudou.jp/wp-content/uploads/R7yusou_file_1.pdf

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