【NEWS】JR北海道の線区別輸送密度&収支(2025年度)札幌圏で初の黒字に

JR北海道の輸送密度(2025年度) 協議会ニュース

【2026年7月3日】JR北海道は、2025年度の線区別の輸送密度と収支を公表しました。

前年度より輸送密度が増えた線区は、「千歳線・室蘭本線の一部(白石~新千歳空港・苫小牧)」「留萌本線」「日高本線」「宗谷本線(旭川~名寄/名寄~稚内)」の4路線5線区。札幌圏の函館本線を含め、9路線18線区が減少しました。2025年4月に実施した運賃改定が影響しているとみられます。

収支は、札幌圏が9億7,300万円の黒字で、他の線区はすべて赤字です。なお札幌圏では、2014年度の公表以来初の黒字を達成。管理費を含めた営業係数は98でした。全線の赤字額は561億6,800万円で、昨年度より20億円ほど改善したものの、依然として厳しい状況が続いています。

【解説】札幌圏で初の黒字達成・黄線区の輸送密度&収支は?

JR北海道では、2025年4月に運賃改定を実施。その影響で収支は改善したものの、利用者数の減った線区が多く見られました。一例として札幌圏では前年の12億2,000万円の赤字から9億7,300万円の黒字に改善したものの、函館本線(小樽~岩見沢)や札沼線の利用者数は1~2%減っています。

こうしたなかでも、千歳線(白石~新千歳空港・苫小牧)は好調。新千歳空港や北海道ボールパーク(エスコンフィールドHOKKAIDO)のアクセス利用者が増えており、2025年度の輸送密度は48,052人/日と、公表を始めた2005年以来最高を記録しました。

千歳線以外で前年度より輸送密度が増えたのは、留萌本線、日高本線、宗谷本線でした。このうち留萌本線は、廃止前の駆け込み需要で大きく増加。前年度比で、赤字額は500万円減少、輸送密度は54人増えて253人/日でした。収支でみると、石勝・根室線(南千歳~帯広)が前年比で7億8,500万円の改善、北海道新幹線も7億700万円改善するなど、赤字額が大きく減った線区も見られます。

黄線区のアクションプラン延長戦2年目の実績は?

ここからは、存廃の行方が気になる「黄線区」について、2025年度の実績を見ていきます。

輸送密度2,000人/日未満の黄線区では、沿線自治体とJR北海道が協働で経営改善計画「アクションプラン」を立て、利用促進などの取り組みを進めています。計画期間は、2026年度末までです。

アクションプランには「2017年度の輸送密度と収支を下回らないこと」という目標値を設定しており、これを達成できなければ存廃協議が本格的に始まるとされています。2025年度の黄線区の実績を、目標値(2017年度)と比較しながらみてみましょう。

黄線区の輸送密度

▲単位:人/日。赤の棒グラフが上回っていれば目標達成。

輸送密度で目標値をクリアしている線区は、ひとつもありません。観光需要の多い根室本線(滝川~富良野)や釧網本線は頑張っているほうですが、それでも目標未達です。

減少率がひと際大きいのが、室蘭本線(沼ノ端~岩見沢)と石北本線(新旭川~上川)。2017年度からの8年間で、約3割減っています。石北本線は、2025年のダイヤ改正で特急列車2往復が廃止に。代わりに快速列車を走らせているものの、ビジネス客の減少などで利用者減少に歯止めがかからない状況です。室蘭本線の沼ノ端~岩見沢は、沿線地域の少子化・過疎化の影響が大きいのかもしれません。

黄線区の赤字額(単位:億円)

▲単位:億円。赤の棒グラフが下回っていれば目標達成。

収支でみると、根室本線(滝川~富良野)、室蘭本線(沼ノ端~岩見沢)、日高本線の3線区が改善傾向。一方で、宗谷本線や石北本線、富良野線などの5線区では赤字額が増えています。

2025年度の黄線区の赤字総額は、155億7,200万円。前年比で約8億円も悪化しており、運賃を値上げしても改善しない状況です。もっとも収支は、大規模修繕や災害復旧などがあると大きく悪化します。2025年夏の大雨で一部線区が不通になった宗谷本線では、災害復旧工事による修繕費増加が収支悪化に影響を与えたようです。

JR北海道の黄線区は今後どうなる?

読売新聞などが2025年1月16日に報じた内容によると、JR北海道と沿線自治体は「アクションプランの達成状況のみで黄線区の存廃を判断しない」という確認書を交わしたようです。

鉄道経営において輸送密度と収支は重要な指標ですが、それ以外にも鉄道には、まちづくりや地域振興などさまざまな役割があります。北海道が2024年5月9日に公表した「道内ネットワーク評価分析結果報告」によると、列車の運行により地域にもたらす経済波及効果は、富良野線が約170億円、釧網本線が約110億円、花咲線は約50億円という試算結果を示しています。こうした観点も踏まえ、総合的に判断することを沿線自治体は求めたのです。

ただし、鉄道が存続することで便益を受けるのは沿線自治体や北海道です。成績の悪い線区を残せというのであれば、最大の受益者である自治体にもさらなる支援が求められるでしょう。

とはいえ、財政基盤の弱い自治体が億単位の支援を続けるのは、現実的ではありません。カギを握る北海道も財政状況は良くないですし、道南いさりび鉄道への支援も続いています。また、北海道新幹線の札幌延伸後には函館本線から経営分離される区間(函館~長万部)の維持費も北海道が一部負担する見込みです。

さまざまな課題を抱えるなかで、2027年春にはJR北海道が黄線区の方針を示します。いま地域にできることは、アクションプランで実績をつくり鉄道の可能性を探ること。行動だけでなく、成果を出すことが求められます。

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参考URL

2025年度線区別収支とご利用状況について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20260703_KO_daiyonshihanki.pdf

お客様のご利用状況の推移(JR北海道)
https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/region/pdf/jyoukyou/transition.pdf

道内ネットワーク評価分析結果報告(北海道)
https://www.hokkaido-rail-k.jp/wp/wp-content/uploads/2023/12/%E9%81%93%E5%86%85%E9%89%84%E9%81%93%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E8%A9%95%E4%BE%A1%E5%88%86%E6%9E%90%E7%B5%90%E6%9E%9C.pdf

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