【NEWS】新潟県側のJR米坂線沿線自治体が「バス転換」を容認へ

米坂線の列車 協議会ニュース

【2026年9月10日】一部区間の運休が続くJR米坂線について、新潟県関川村の加藤村長は、条件付きでバス転換を容認する考えを表明しました。翌11日には、新潟県村上市の高橋市長と面会。その後に開かれた記者会見で高橋市長も「バス転換が最も現実的」との認識を示しています。

両首長は、バス転換を受け入れる条件としてJR東日本に「3つの条件」を示すことで一致。莫大な地元負担が発生する「上下分離方式」や「第三セクターへの移管」による鉄路復旧を避け、運行ルートの柔軟性やコスト面で勝るバス転換を軸とする方針を固めた模様です。

一方、山形県側の米坂線沿線自治体は「結論は出ていない」として、明確な方向性を示した自治体は2026年9月12日時点でありません。

【解説】新潟県の沿線自治体がバス転換容認に傾倒した理由

JR米坂線は、2022年8月に発生した豪雨災害により、今泉~坂町(67.7km)が不通のままです。JR東日本と沿線自治体は「JR米坂線復旧検討会議」を設置し、米坂線の将来について議論を続けてきました。しかし、被災から4年以上が経過しても結論は出ていません。

この検討会議の第3回(2024年5月29日開催)でJR東日本は、米坂線の復旧・運営形態に関する「4つの選択肢」を示しています。

  • (1)JRの単独運営
  • (2)上下分離方式への移行
  • (3)第三セクターへの移管
  • (4)廃止・バス転換

このうち(1)に関しては、利用者の減少が続いていることや年間で約12億円の赤字を生み出すことなどを理由に、「JR単独で運営するのは難しい」と難色を示しています。

また第4回・第5回の検討会議では、(2)(3)(4)の地元負担額をJR東日本が試算。赤字額とほぼ同額の負担を示された沿線自治体が難色を示し、議論は硬直した状態です。

こうしたなかで2026年9月に入り、新潟県側の沿線自治体である関川村と村上市が相次いで、バス転換を容認する考えを示します。なぜこのタイミングで決断を下したのでしょうか。直近の経緯と今後の論点を整理します。

新潟県が試算した地元負担額の結果

新潟県側の沿線自治体がバス転換を容認した理由のひとつが、第7回検討会議(2026年4月30日に開催)で示された地元負担額です。新潟県は、JR東日本が示した自治体負担額とは別に、(2)(3)(4)の負担額を独自に試算。その結果、国の補助金を活用しても地元に大きな負担が生じることが判明します。

■新潟県の線区(小国~坂町)の自治体負担額

上下分離方式第三セクター廃止・バス転換
3.8億~5.1億円3.3億~5.9億円0.55億~0.7億円
▲新潟県が試算した、国の補助金を差し引いた地元負担額。

鉄道は毎年億単位の負担が生じるのに対し、バスなら10分の1程度で運用できます。さらにバスは、ルート設計や停留所の新設が容易にでき利便性の向上も期待されます。

この結果が示された2カ月後の6月30日、沿線自治体などで構成する「米坂線整備促進期成同盟会」の総会が新潟県関川村で開催。多額の地元負担を抑えるために、JR東日本や国への要望を注力することが確認されました。

ただ、JR東日本や国への要望は、被災直後から4年間続けています。関川村の加藤村長は「国が新たな支援スキームを作るわけでもなく、財政支援があるわけでもない」「4年間何も決まっていない。そろそろ次のステップにいかなければいけない」と、9月2日の記者会見で心の内を明かします。

これと前後しますが、新潟県の花角知事は9月1日の記者会見でバスの柔軟性を評価。また、9月9日の記者会見では「最終的な出口を探っているという状況」と、沿線自治体(関川村と村上市)との協議進捗を伝えています。

バス転換容認の大前提となる「3つの条件」

2026年9月10日に開かれた関川村の村議会。加藤村長は、米坂線のバス転換を容認する考えを示します。ただし、JR東日本が以下「3つの条件」を満たすことを大前提としています。

  1. 地域住民などの利便性をしっかり確保すること
  2. 自治体に財政負担を生じさせないこと
  3. 地域公共交通の維持に、JR東日本が主体的な役割を果たすこと

この3条件を満たしたうえで「魅力のあるバス路線に転換できればと思っている」と、議会で答弁します。沿線自治体のなかでバス転換を容認したのは、関川村が初めてです。

加藤村長がバス転換を容認したもうひとつの背景として、「地域の足を、責任をもって守る」というJR東日本の姿勢を強く感じたこともあるようです。

第6回検討会議(2025年8月27日に開催)で、沿線自治体は「JR東日本がどこまで関与するのか、具体的に説明してほしい」と注文。第三セクター方式やバス転換になった場合、「JR東日本がどれだけ支援してくれるのか」を具体的に示すよう求めたのです。

その後、JR東日本と沿線自治体は事務レベルの会議を開催。支援内容までは踏み込まなかったものの、「沿線住民の利便性を向上させ、持続可能なネットワークを維持する」と、鉄道であれバスであれ責任をもって運営に関わることを約束しました。

これに対して加藤村長は、「地域の足を守ることに、JR東日本が本気で考えてくれている」と納得したことも、バス転換を容認する要因として大きかったようです。もっとも、事務レベルでの口約束ですから、本当に守られるかはわかりません。そのため加藤村長は「3つの条件」で念押ししたのです。

加藤村長は9月11日に、村上市の高橋市長と面会します。その後に開かれた記者会見で、高橋市長も「JR東日本が、地域交通ネットワークの担い手として、当事者意識を持って『やるよ』と言ってくれればよいのではないか」と、JR東日本の積極的な関与を求めています。

山形県側の沿線自治体の方向性は?

新潟県側の米坂線沿線自治体は、関川村と村上市の2つです。この2つがバス転換を容認する考えを示したことで、新潟県としての方向性はまとまりつつあります。

では、山形県側はどうなのでしょうか。沿線自治体は、小国町、長井市、飯豊町、川西町、米沢市の5つです。

このうち小国町は、2026年6月30日の米坂線整備促進期成同盟会の総会後に「列車を捨てきれない」「仮にバス転換なら、駐車場やトイレなどの整備を求めたい」と、地元メディアの取材に答えています。

飯豊町の嵐町長は、9月9日の地元メディアの取材でJR東日本に原形復旧を求めながらも「(4案について)町としての結論は出ていない。地元負担額でみれば、バス転換も十分考えられる」と、方向性を決めかねている様子です。

また山形県の吉村知事は、9月9日の記者会見で「沿線自治体の意見集約を行っているところ」として、結論は出ていないと説明。「沿線地域の意向を十分に尊重しながら、新潟県やJR東日本とともに、早期復旧に向けて議論を進めたい」と語っています。

山形県5市町の意見をみると、現時点ではまとまっていない様子です。ただ「JR東日本の関与」が明確になれば、山形県側の自治体も方向性が定まってくるのではないでしょうか。次回の検討会議で、JR東日本がどんな提案をしてくるのか。それによって、米坂線の将来を決める大きな転換点になりそうです。

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参考URL

令和8年9月9日新潟県知事定例記者会見
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/kouhou/chijikaiken20260909.html

知事記者会見の概要(山形県)
https://www.pref.yamagata.jp/documents/54183/20260908.pdf

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