【NEWS】米坂線の検討会議「JRの関与が見えない」と自治体が不満

米坂線の列車 協議会ニュース

【2025年8月27日】JR米坂線復旧検討会議の6回目の会合が開かれ、JR東日本は復旧方式ごとのメリットとデメリットについて説明しました。

JR東日本は第3回検討会議で、「JRの単独復旧・運行」「上下分離方式への移行」「第三セクターへの移管」「廃止・バス転換」の4つの復旧方式を提示。このうちJRの単独復旧・運行は、利用者減少や将来の利用予測などから「単独での維持は難しい」とし、自社が運行する場合は上下分離方式への移行を求めています。

今回の検討会議では、残る2案のメリット・デメリットについて説明。第三セクターの場合は、地域のニーズにあわせた運営が容易になる一方で事業者の確保に課題があること。バス転換の場合は、ルートやバス停を柔軟に設置できるもののドライバー不足が懸念されることなどを説明したようです。

これに対して沿線自治体からは、それぞれの案について検討するとしながらも「JR東日本がどこまで関与するのか、具体的に説明してほしい」という声が相次いだそうです。検討会議に参加した新潟県の担当者は、「自治体が判断できる材料を整えていくことが必要だ」などと伝えています。

【解説】JR東日本の「関与」に不満を募らせる米坂線沿線自治体

今回の検討会議は、第三セクター移管やバス転換をしたときの「イメージができない」という沿線自治体の課題を受け、JR東日本の説明が中心でした。たとえばバス転換の場合、ルートやバス停の位置などの案を説明。既存駅にくわえ停留所を6カ所新設するといった具体案を示すとともに、「乗降所が増えて利便性が高まる」「ドライバー不足が課題」などのメリット・デメリットを伝えたようです。

ただ、JR東日本の説明は、沿線自治体が求める内容とは少し乖離していたとみられます。JR東日本は、仮に第三セクター方式やバス転換した場合でも、運行などを支援していく考えを示していますが、沿線自治体は「JR東日本の関与が見えない」として、より具体的な支援の説明を求めたのです。

また、JR東日本が淡々と説明する様子に「JRは当事者意識があるのか?」と疑念を感じた自治体もあったようです。今回の議題が第三セクターとバス転換の話ですから、復旧後にJR東日本が関与する部分が少ないため、そのように感じたのかもしれません。

とはいえ、自治体としてはJR東日本に対して何らかの支援を期待しており、その説明がなかったことに不満を感じたとみられます。

沿線自治体がJR東日本に求めることとは?

沿線自治体は、これまで一貫して米坂線の「鉄道での復旧」を求めてきました。不通になってからの3年間、沿線自治体は復旧後の利用促進策を検討したり、マイレール意識の醸成を目的としたイベントを開いたり、他線の災害復旧事例などを調査する勉強会を開いたりと、米坂線の復旧に向けて活動を続けてきたのです。

こうしたなかで「JRの単独復旧・運行は難しい」ことも、沿線自治体は理解しているでしょう。もっとも、その可能性を捨てたわけではありませんが、第4回検討会議で「JRだけに復旧や運営を求めても議論が進まない」と山形県が発言しており、自治体として何らかの関与は必要だと考えています。

とはいえ、上下分離方式を受け入れるとなれば、復旧費用にくわえ年間12億8,000万~17億円の負担が自治体に生じます。過疎化の進む地域には、重い負担です。

となれば、復旧方式に限らずJR東日本からの支援を引き出し、妥協点を探る交渉をしていく必要があるでしょう。

これについて新潟県の花角知事は、8月28日の定例記者会見で、気仙沼線・大船渡線のBRTを例に「形は変えてもJRが事業としてやっている。米坂線もそうなると理解している」と発言。翌29日には山形県の吉村知事が「他の復旧した線区ではJRが主体で運営している」などと述べており、米坂線に対するJR東日本の支援の少なさに不満を感じているようです。

たとえば、JR東日本がバス転換を勧めるのであれば、気仙沼線・大船渡線のBRTのように「JRが主体で運行し、運行経費も全額負担する」と言ってほしかったのではないでしょうか。他社の事例でも、BRTでの復旧が決まった美祢線ではJR西日本が運行主体となり経費は全額負担すると約束。自治体は復旧に関する一部費用のみ負担することで、調整が進んでいます。

あるいは津軽線(蟹田~三厩)のように、バスやタクシーを組み合わせた新たな運行法人を設立するなど、地域公共交通に対する投資を期待しているのかもしれません。ちなみに津軽線では、JR東日本が約33億円の投資を約束しています。

第三セクター移管の条件闘争は難しいか?

第三セクターの場合、三陸鉄道に移管した山田線の宮古~釜石の事例も、米坂線の沿線自治体は知っているでしょう。山田線のケースでは、宮古~釜石を三陸鉄道へ移管することを条件に、JR東日本は復旧費用の3分の2にあたる約140億円を負担しています。米坂線の復旧費用は約86億円ですから、交渉によっては受け入れてくれるかもしれません。

ただし、当時は国の制度(鉄道軌道整備法にもとづく災害復旧補助)が、黒字企業のJR東日本には適用されませんでした。現在の法律では線区別の収支が適用されるため、米坂線のような赤字線区なら国の制度が活用できます。このため、JR東日本が「法制度を活用して復旧したい」という意向であれば、交渉は難しいかもしれません。もっとも、これまでの事例にはない別案を自治体が示して、条件交渉をしていくこともありでしょう。

細かな条件はこれからの協議で決まりますが、いずれにせよ復旧にも運行にも多額の負担が生じる沿線自治体としては、少しでも有利な条件で復旧方式を決めたい考えです。

米坂線の今泉~坂町が災害で不通になり丸3年が経過しました。復旧に向けて具体的に動き出さなければならない時期に、「第三セクターのメリット・デメリット」などの説明を聞いている段階ではありません。JR東日本も、赤字ローカル線に対して投資する余裕はないでしょう。とはいえ、今後も米坂線のような協議が各地でおこなわれることを考えると、公共交通を守る事業者として迅速かつ適切な対応が求められます。

米坂線がどのような復旧方式であっても、利便性が高まり地域活性化につながるような案を、みんなが待っているのです。

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