【NEWS】宇都宮LRTの延伸計画を国が認定 – 2036年の開業を目指す

宇都宮LRTの延伸イメージ 協議会ニュース

【2026年10月9日】国土交通省は、宇都宮市などが申請していた宇都宮ライトレール(LRT)の延伸事業計画を認定しました。認定された延伸区間は、宇都宮駅東口~教育会館前の4.9km。概算事業費は約698億円を見込み、2036年3月の運行開始を目指します。

宇都宮ライトレールは2023年8月に、宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地(路線長14.6km)が開業。多い日には1日2万人以上が利用し、沿線住民の足として定着しつつあります。延伸区間の周辺には、栃木県庁や宇都宮市役所、東武宇都宮駅、作新学院などがあり、全線開業すれば1日3万人以上(平日)が利用すると宇都宮市などは予測しています。

事業計画の認定を受けて、宇都宮市の佐藤市長は「市民に事業内容を丁寧に説明しながら、事業を着実に進めていきたい」とコメントしています。

■認定された宇都宮ライトレールの延伸区間

国に認定された宇都宮ライトレールの延伸区間
出典:国土交通省「宇都宮市及び芳賀町 宇都宮ライトレール株式会社からの軌道運送高度化実施計画の認定申請について」

【解説】拡大を続ける宇都宮LRTの延伸計画

宇都宮ライトレールは、宇都宮市民や栃木県民はもとより、LRTで地域公共交通の再編を目指す全国の地方都市からも注目を集めています。注目される理由は、開業以来、沿線地域に大きな効果をもたらしていることにあるでしょう。

沿線地域の渋滞緩和や通勤通学時間の短縮、定住促進による人口増加、外出機会の増加など、LRT新設による効果は多岐にわたり地域活性化にも貢献しています。

利用者数は開業前の予想を上回るペースで推移し、開業から3年を過ぎた現在も増加中。線路や停留所といった施設を自治体が管理する上下分離方式を採用したこともあり、2025年度の決算は、当期純利益が2憶1,829万円と黒字経営です。

この成功が、宇都宮駅西側への延伸に強い追い風となりました。

西側延伸も紆余曲折だった宇都宮ライトレール

とはいえ、宇都宮ライトレールの延伸事業計画は順風満帆に進んだわけではありません。

宇都宮市が具体的な計画案を示したのは、開業から半年後の2024年2月でした。計画では、教育会館前までの約5kmが「整備区間」、その先の大谷地区までは「検討区間」とし、まずは整備区間を2030年代前半の開業を目指すことが示されます。概算事業費は当初、約400億円と見積もられました。

その後、2024年11月の宇都宮市長選で佐藤市長が「開業時期を2030年に前倒しする」という公約を掲げて当選。事業のスピードアップが期待されました。

しかし2025年8月、宇都宮市は「2030年の開業は厳しい」ことを明らかにします。理由は、当初の計画より工事の長期化が見込まれたからです。

延伸区間の道路下には、電線やガス管など重要インフラの埋設物が多く、移設などに時間がかかることが判明します。また、想定以上に利用者が増えたことで、車両の増備も必要に。車両数が増えたら留置施設の新設を検討しなければなりません。その用地取得の交渉にも、時間を要します。

工期が伸びたことにくわえ、資材費や人件費などの高騰もあって、事業費は大きく増加。概算事業費は約700億円に修正されました。

工期・コスト以外にも、延伸区間では問題が山積していました。そのひとつが、路線バスの再編です。JR宇都宮駅の西側大通りを運行するバスは、平日1日あたり約2,300本。LRTに置き換えても3割程度の削減にとどまり、開業後も1日1,600本程度のバスが運行される見込みです。

一方で、LRTの軌道敷設より道路の車線数は縮小されます。一部区間では片側3車線から1車線に減少し、渋滞対策も必要です。宇都宮市では、教育会館前の停留所付近にパークアンドライド駐車場を設置したり、桜通り十文字付近などにバスやタクシーの乗り換え拠点(トランジットセンター)を設けたりと、対策を進めています。

▲都心部への過度な自動車流入を抑制するために、「パークアンドライド駐車場」や「トランジットセンター(赤丸)」などの設置を検討している。
出典:国土交通省「宇都宮市及び芳賀町 宇都宮ライトレール株式会社からの軌道運送高度化実施計画の認定申請について」

このほかJR宇都宮駅では、LRTの高架軌道を地上のJR在来線と高架の新幹線のあいだに敷設するという、特殊構造による難工事も懸念されます。

こうした難題を解決するうえで、宇都宮市は十分な時間が必要と判断。着工は2028年、2036年3月の開業を目指すと変更したのです。スケジュール変更した事業計画(軌道運送高度化実施計画)は、2025年10月29日に国へ申請。およそ1年後の2026年10月9日に認定されました。

なお、宇都宮駅西側の路線バス再編については、2025年9月に関東自動車と宇都宮市が基本協定を締結。現在協議中です。

東武宇都宮線への乗り入れも!構想中のLRT延伸計画

宇都宮市によると、LRT延伸により1日あたりの利用者数は平日が31,512人、休日が22,527人に増えると試算しています。沿線には東武宇都宮駅もありますし、県庁や市役所、日本有数のマンモス校として知られる作新学院などもありますから、大きな増加が期待されるでしょう。

なお、宇都宮ライトレールの延伸計画はこれだけではありません。教育会館からさらに西側の大谷地区への延伸も計画されていますし、最近では東武宇都宮線との直通運転に向けた検討も進められています。

2025年3月には、栃木県と宇都宮市、東武鉄道の3者による協議会を設置。東武宇都宮線へのLRT車両乗り入れについての話し合いが始まっています。2026年3月に開かれた協議会では、電圧の違いなどの課題はあるものの「技術的に可能」との見解が示され、広域ネットワークの構築に期待がかかっています。実現すれば、宇都宮市の都市構造や公共交通の利便性は劇的に向上するでしょう。

また、芳賀・高根沢工業団地の東側への延伸計画も進んでいます。芳賀町では、2024年に策定した第7次芳賀町振興計画で芳賀・高根沢工業団地から約5kmに位置する町の中心地へのLRT延伸を「重点項目」に位置付けました。今後、有識者を含めた検討会を設置し、需要や費用対効果などを検証する予定です。

これらの計画にはハードルの高い構想もありますが、広域交通網へと進化していくLRTの今後に注目したいところです。

宇都宮ライトレールの関連記事

【宇都宮ライトレール】LRTは不要?ライトレール開業までに30年もかかった理由
構想から30年を経て開業した新規LRT路線「宇都宮ライトレール」。開業までの紆余曲折と、今後の延伸計画について解説します。

参考URL

宇都宮市、芳賀町及び宇都宮ライトレール株式会社申請の軌道運送高度化実施計画を認定しました(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/002025948.pdf

宇都宮市及び芳賀町 宇都宮ライトレール株式会社からの軌道運送高度化実施計画の認定申請について(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/001995066.pdf

軌道運送高度化実施計画 概要版(宇都宮市)
https://www.city.utsunomiya.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/043/655/ekinishi_zisshikeikaku.pdf

ライトラインの整備効果について(宇都宮市)
https://www.city.utsunomiya.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/006/078/43_seibikoukasyousai.pdf

2025年度決算(概要)について(宇都宮ライトレール)
https://www.miyarail.co.jp/cms/wp-content/uploads/2026/06/06-%E3%80%90%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%80%912025%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E6%B1%BA%E7%AE%97%E6%A6%82%E8%A6%81.pdf

START,2022 LRT(宇都宮市)
https://www.city.utsunomiya.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/017/454/01.pdf

タイトルとURLをコピーしました