【JR九州】指宿枕崎線の廃止を防ぐには?利用促進効果が薄い理由を解説

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指宿枕崎線の駅 JR
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指宿枕崎線は、鹿児島中央と枕崎をつなぐJR九州のローカル線です。このうち、鹿児島中央~指宿は利用者が比較的に多いものの、指宿より先の枕崎までは閑散線区です。沿線自治体は指宿~枕崎間の存続を願い、さまざまな活動を続けていますが、利用者の減少に歯止めがかからない状況が続いています。

鉄道の利用促進をはじめ、沿線自治体の取り組みを紹介します。

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JR指宿枕崎線の線区データ

協議対象の区間JR指宿枕崎線 指宿~枕崎(42.1km)
輸送密度(1987年→2019年)942→277
増減率-71%
赤字額(2019年)3億5,400万円
営業係数923
※輸送密度および増減率は、JRが発足した1987年と、コロナ禍前の2019年を比較しています。
※赤字額と営業係数は、コロナ禍前の2019年のデータを使用しています。

協議会参加団体

鹿児島市、指宿市、南九州市、枕崎市

指宿枕崎線と沿線自治体

指宿枕崎線をめぐる協議会設置までの経緯

指宿枕崎線の沿線自治体には、「指宿枕崎線輸送強化促進期成会」という組織があります。この組織の目的は「輸送力の増強や改善を促し、地域住民の福祉の向上と沿線自治体の発展をめざす」としており、具体的にはJR九州に対する要望活動が主です。たとえば、「運行本数を増やしてほしい」「指宿のたまて箱を走らせほしい」といった要望をするのが、期成会の役割でした。

ただ、この後に紹介する「線区活用に関する検討会」が始まってからは、利用促進などの取り組みも本格的に実行するようになります。

指宿枕崎線に関する検討会

2019年にJR九州は、利用者が激減した線区の沿線自治体に対して「線区活用に関する検討会」の開催を提案します。対象線区は、筑肥線(伊万里~唐津)、吉都線、日南線(油津~志布志)、そして指宿枕崎線(指宿~枕崎)の4路線です。

この検討会の目的は、沿線自治体に鉄道の利用実態を共有したうえで、利用促進などをみんなで検討することです。検討会で決まった事業はできることから実行に移され、その後は効果検証もおこないます。

なお、検討会には沿線自治体とJR九州のほか、鹿児島県、九州運輸局も参加しています。また、この検討会は利用促進について話し合う場であり、指宿枕崎線の存続・廃止に関する検討はおこないません。

指宿枕崎線の主な取り組み

指宿枕崎線の利用促進に関する、沿線自治体の取り組みの一部を紹介します。

  • 団体利用への運賃補助
  • イベント列車の運行(列車内講座、車窓フォトコンテストなど)
  • イベントの実施(謎解きイベント、鉄道模型壮行会、ミニマルシェなど)
  • 清掃美化活動
  • SNSや広報紙による情報発信

…など

沿線の小中学校が校外学習などで指宿枕崎線を利用する場合、その運賃を沿線自治体が全額補助する事業を実施しています。自治体は、教育委員会や学校への働きかけや、校外学習の講師派遣などもサポート。2022年度には174人が利用したそうです。

また、イベント列車の運行や駅前などで各種イベントも実施。イベント列車は118人が利用、謎解きイベントには78人が列車を利用して参加しました(いずれも2022年の実績)。このほか、指宿駅前では「いぶすきバル」を開催。JRを利用する来場者には運賃を補助するなど鉄道での利用を呼びかけますが、バルに来場した約820人中、JR利用者は約60人でした。

2022年度に検討会が実行した施策で、指宿枕崎線を利用した人はトータルで約670人です。同じく検討会を開いている吉都線では約1,300人、日南線では約4,200人が鉄道を利用しています。

吉都線や日南線では、沿線自治体による協議会が30年以上前から活動を続けており、さまざまな方法で周知活動に努めています。これに対して指宿枕崎線の沿線自治体は、JR九州に要望するだけの期成会が長く続き、設置していませんでした。

もっとも、県には「鹿児島県鉄道整備促進協議会」という組織があり、ここで紹介した利用促進策に協力しています。つまり、鹿児島県の負担が大きく沿線自治体の周知活動が少ないことも、効果につながりにくい理由だと考えられます。

鉄道の利用者を増やすには、沿線住民の利用をいかに増やせるかがカギを握ります。沿線自治体も協議会を設置し、県と連携しながら取り組んでいくことが求められるでしょう。

JR九州が指宿枕崎線の「あり方」協議を申し入れ

「線区活用に関する検討会」の取り組みが苦戦するなか、JR九州は2023年11月30日、指宿枕崎線の沿線自治体に対して「地域公共交通のあり方」について話し合う任意協議会の設置を申し入れました。対象線区は、指宿~枕崎の42.1kmです。

これまでの検討会は、沿線自治体と協働で利用促進策に取り組んできたものの、効果は限定的であり、コロナの影響を差し引いても利用者の増加につながっているとはいえません。とはいえ、JR九州は検討会での実績も評価しており「期間を設けず、より踏み込んだ話し合いを進めたい」という意向を示しています。

■指宿~枕崎の輸送密度の推移

2016201720182019202020212022
301306291277255240220
▲指宿枕崎線(指宿~枕崎)の線区活用に関する検討会は、2019年に設置されるが、その後も利用者数は減少の一途をたどり続けている。

第1回の協議は、2024年1月18日に開催。構成メンバーは、指宿市、南九州市、枕崎市、鹿児島県、JR九州で、実務担当者での話し合いが始まります。

なお、協議対象線区は鹿児島県内で完結するため、国の再構築協議会の対象にはなりません。国もオブザーバーという立ち位置で参加するとみられますが、基本的にはJRと沿線自治体との話し合いで決着させることになります。先行事例としては、JR東日本の久留里線(久留里~上総亀山)が参考になるでしょう。

指宿枕崎線の沿線自治体がどのような対応を示すのか、注目されます。

※久留里線(久留里~上総亀山)の「あり方」協議の進捗は、以下のページで紹介しています。

参考URL

交通・営業データ(JR九州)
https://www.jrkyushu.co.jp/company/info/data/senkubetsu.html

JR指宿枕崎線(指宿~枕崎)活用に関する検討会(指宿市)
https://www.city.ibusuki.lg.jp/main/shicho/topics/page002303.html

広報南九州(2023年3月)
https://www.city.minamikyushu.lg.jp/kouhou/shisejoho/koho/koho/documents/2023minamikyushu03-vol184-mini.pdf

「指宿枕崎線(指宿~枕崎)活用に関する検討会」における2022年度の取り組みについて(枕崎市)
https://www.city.makurazaki.lg.jp/uploaded/attachment/15691.pdf

鹿児島県鉄道整備促進協議会
https://www.kagoshima-tetsudo.com/