週刊!鉄道協議会ニュース【2024年5月5日~5月11日】

北海道新幹線の終点となる札幌駅 協議会ニュース

北海道新幹線の札幌延伸開業が延期に – 並行在来線の影響は?

【2024年5月8日】北海道新幹線の札幌延伸開業について、建設主体の鉄道・運輸機構は2030年度末までの開業予定が困難であることを、国土交通大臣に報告しました。羊蹄トンネルで巨大な岩塊群に阻まれ掘削工事が難航するなど、複数箇所で工事進捗が遅れていることが原因としています。

新たな開業時期に関しては「未定」としており、遅れは年単位になる見通しです。鉄道・運輸機構の報告を受け、国は新たな開業時期について今後検討していく予定です。

【解説】札幌延伸の遅れでJR北海道の経営改善計画と並行在来線はどうなる?

札幌延伸開業の先送りは、JR北海道の経営改善計画や並行在来線の沿線自治体にも影響を及ぼします。

2022年度の並行在来線(函館~小樽)の赤字額は、年間で約91億円。新幹線(新青森~新函館北斗)の赤字額は、約129億円です。新幹線が札幌まで延伸すれば、利用者の増加などにより運賃収入の増額が見込めますし、並行在来線の赤字分を削減できます。このため、JR北海道は経営改善が期待されます。

その改善時期が先送りとなったことで、経営状況によっては他の在来線線区に影響が出る可能性があります。とくに黄線区(輸送密度2,000人/日未満の線区)の存廃問題について、どのような影響が出てくるか注目が集まりそうです。

一方で、並行在来線の沿線自治体にとっては、代替交通計画や再開発計画が狂ってきます。もっとも代替交通については、鉄道の廃止が決まった長万部~小樽では、ドライバー不足などの理由でバス事業者との協議が難航。先行きは不透明な状況です。

なお、新幹線の駅ができる倶知安町では、駅前再開発を進めるために「在来線を早く廃止にしたい」と表明していますが、札幌延伸開業の先送りにより計画変更が必至でしょう。それにともなう手間やコストといった負担が生じるなど、影響が出てくると考えられます。

また、貨物輸送を守るために鉄路存続をめざす函館~長万部では、2023年11月に国と北海道が検討会議を設置。JR北海道やJR貨物、大学教授などの有識者、道経済連合会、ホクレンなどと協議を続けています。存廃の最終決断は2025年度末としていますが、その時期も先送りになる可能性があります。

※並行在来線(函館~長万部~小樽)の協議の流れは、以下のページで解説しています。

その他の鉄道協議会ニュース

JR富良野・釧網・花咲の3線区の経済効果を試算 – 年間330億円に

【2024年5月8日】北海道は、JR北海道の黄線区のうち観光利用の多い富良野線、釧網本線、花咲線(根室本線の釧路~根室)に関する経済波及効果の試算結果をまとめたようです。北海道新聞によると、3線区の観光客数は年間で約33万人、経済波及効果は330億円になると伝えています。

なお、2022年度の3線区の赤字額は合計で約39億円(富良野線が11億3,200万円、釧網本線が16億600万円、花咲線が11億3,200万円)です。バス転換した場合の経済波及効果との比較も必要ですが、鉄道の廃止が地域に与える影響が明確に示されたことで、今後の存廃協議にも影響が出てきそうです。

※JR北海道の黄線区の現状について、以下の記事で詳しく解説します。

JR大糸線で臨時バスの実証実験

【2024年5月9日】大糸線の沿線自治体とJR西日本は、白馬~糸魚川で臨時バス運行の実証事業を、2024年6月から始めることを公表しました。北陸新幹線と大糸線との接続改善が目的で、大糸線の増発が難しい時間帯に臨時バスを1日4本運行。公共交通全体の利便性向上を図ります。臨時バスは大糸線の各駅に停車し、利用者への利用状況調査も実施する予定です。

臨時バス運行のほかにも沿線自治体とJR西日本は、大糸線の旅行商品造成やPRプロモーションなど「本格的な利用促進・利便性向上」を実施します。これらの施策が、将来の大糸線にどのような影響を与えるのかを、以下の記事で詳しく解説します。

※大糸線の沿線自治体とJR西日本との協議の流れは、以下の記事で詳しく解説します。

丹波市がJR加古川線の運賃補助制度を新設

【2024年5月8日】兵庫県丹波市は、JR加古川線の利用促進を目的とした運賃補助制度を新設しました。補助対象になるのは、「西脇市~谷川間を含む旅行」をする「5名以上の団体(グループ)」です。補助額は1人につき上限1,000円(子どもは上限500円)。なお、西脇市でも同じ条件の運賃補助制度を設けています。

JR加古川線の西脇市~谷川については、JR西日本が法定協議会の設置を求めており、2024年内にも協議を始めたいとしている線区です。同線区がある西脇市と丹波市では、利用促進を図ることで鉄道の維持をめざしています。

参考:JR加古川線(西脇市駅~谷川駅間)を利用した旅行の鉄道運賃を補助します(丹波市)

宇都宮ライトレールの飛山城跡停留場で無料タクシー実証実験

【2024年5月2~6日】宇都宮市は、宇都宮ライトレールの飛山城跡停留場と飛山城史跡公園を結ぶ無料タクシーの実証実験を、2024年5月2~6日におこないました。飛山城史跡公園は、宇都宮ライトレールの開業後に来訪者数が6割増加。LRT開業の効果が現れる一方で、停留場から1.4kmも離れておりアクセス改善が課題でした。

今回の無料タクシー実証実験は、おおむね10分間隔で運行。宇都宮市では結果を分析したうえで、一定の需要が見込めると判断すれば今後も需要の多い時期に運行する方針です。

参考:飛山城史跡公園までの無料送迎サービスを開始します(宇都宮市)

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